佐藤貞一(佐藤たね屋)
佐藤貞一さんは、陸前高田で種苗店を営んでいらっしゃいます。
辛くも逃れた津波の経験と、その後の店舗の再建、震災後陸前高田の地理や歴史から後世に伝えるべき知恵を英語で綴った「The Seed of Hope in the Heart」を書かれました。
英語が得意だったわけではないがゆえに、津波の大変な経験を、自分の心と少しだけ距離を置きながら表現できる言語として英語を選ばれました。表現に四苦八苦しながら自ら英語で手記を書かれた佐藤さん。いまでは英語(第4版)、中国語、スペイン語で手記を書いておられます。津波の経験とその「学びを伝える」、震災後、様々な国からもらった好意に「感謝を伝える」という強い意志がこのようなことを可能にしています。やれば出来ないことはないと自ら示してくださる佐藤さんには、いつも勇気をもらいます。
ご自分の言葉で伝えてくれる佐藤さんのところには、今も国籍を問わず多くの方が訪れます。また、復興支援でお世話になった国内外の方々にみずからお礼を伝えようと、国内のみならず、海外にも積極的に発信していらっしゃいます。2014年は台湾に、2016年は再度バルセロナにお礼訪問に伺いました。
はなそう基金は、英語・中国語・スペイン語でのチェックや出版の支援をさせていただいています。また、Let’s Talk Ambassadorプロジェクトの一環として佐藤さんの台湾訪問をサポートいたしました。
私たち「はなそう基金」と佐藤さんが出会って感じたこと、佐藤さんへの想いを記事にまとめています。一度ご覧ください
≫ 佐藤貞一さんとはどんな方か(2012年)
はなそう基金代表理事の古森と佐藤さんの対談を記事としてご紹介しています。こちらも併せてお読みください。
≫ 復興対談 佐藤貞一さん(2012年)
佐藤さんは震災当日のご自身が避難する様子、津波で全てが流された状況の中手作りで店舗を再建し、ゼロから再興へ向けて努力されていく様子などを、体験に基づく描写と感じたことや想いを文字にする形で震災手記を纏め始められました。
当初、日本語の短詩のような一節を書かれ、はなそう基金のボランティアが英訳を手伝う形で始まったのですが、ほどなく佐藤さんが自ら英語で、さらには詩ではなく文章で書き始め、はなそう基金のボランティア達による添削を受けながら50ページにも及ぶ手記を綴りました。
執筆開始から執筆過程の様子、出版に至る経緯などは、以下の記事をお読みいただくとおわかりいただけると思います。
≫ The Seed of Hope in the Heartを書くに至った経緯(2012年)
その後、今回の震災の学びを伝えようと、自ら陸前高田や三陸地域の歴史や自然史を探求したり、津波にあわれた地元の方々からの話を聞いたりし、後世に残すべき普遍的な学びを追記するかたちで版を重ねてまいりました。
つづいて佐藤さんは中国語版「在心中希望的種子」の制作も始めました。「震災後、いち早くかけつけて下さり、経済的な面でも多大なる支援をして下さった台湾の方々に御礼の言葉を伝えたい・・・」という佐藤さんの強い願いが行動を起こさせたのだと言います。そして今は、同様にあたたかい支援や応援を続けてくれているスペインの方々へお礼の言葉を伝えるために、現在、スペイン語版の制作を行われています。
英語版震災手記「The Seed of Hope in the Heart」を佐藤さん自ら朗読してその動画も公開されました。動画の撮影、公開に当たってもはなそう基金がサポートさせていただいております。以下で紹介しておりますので、佐藤さんご自身が朗読する「The seed of Hope in the Heart」、是非聞いてみてください。
≫ 朗読で聞く、「The Seed of Hope in the Heart」(2013年)
2015年、The Seed of Hope in the Heart (v4, English) は電子書籍で販売しておりました。現在終売しておりますので、印刷版でお求めください。
2017年、The Seed of Hope in the Heart(v5, English)が発刊されました。印刷版は、陸前高田市物産館と佐藤種苗店(佐藤貞一さん)で扱っております。郵送でもご注文いただけます。ご希望の方はお問い合わせ下さい。
2014年6月、佐藤貞一さんとはなそう基金代表理事の古森が台湾へお礼訪問して参りました。
台湾の方々から賜った震災後支援への御礼とご挨拶を、津波被災者ご本人の口から中国語でお伝えするとともに、より大きな文脈としては、津波被災地と諸外国の人々との将来に向けた交流の種を蒔き続けよう・・・というビジョンに沿った活動です。
3日間で合計約230名の台湾の方々に、佐藤さんから直接お礼のメッセージをお伝えすることができ、海を超えた交流への希望の種を蒔くことができました。
台湾お礼訪問企画の発端から事前準備、当日の様子までをレポート記事にまとめております。是非一度お読みください。
台湾訪問をされたことを知り、地元の方々が佐藤さんの店を訪ね、「震災後多くの方に本当にお世話になったが、自分たちではお礼を伝える方法がなかったことがもどかしかった。お礼を伝えてくれてありがとう」とおっしゃることもあるそうです。これも大切に育てたい希望の種です。
korekara japonのサポートの元、The Seed of Hope in the Heartは英語第一版の頃からkorekaraで紹介されていました。2016年、korekara japonの招聘により佐藤さんがバルセロナを訪問し、スペイン語でプレゼンテーションを行いました。バルセロナへのLet’s talk ambassador訪問レポートはこちらをご覧ください。
佐藤さんは、ポーランドの方が送ってくれた励ましのメッセージに返礼すべく、独学でポーランド語のメッセージを作りYouTubeで発信しています。2016年現在、英語、中国語、スペイン語に加えポーランド語でのメッセージが加わりましたが、いずれも各国の文化や歴史になぞらえた言い回しを使うなど、伝えるための努力を続けていらっしゃいます。